神楽坂で2011年にスコティッユパブ「ザ・ロイヤルスコッツマン」を開業しながら、2021年より無農薬農業を始め、食を通じての体験や考えをまとめたブログです。食育インストラクターでもありオーガニックの普及に努める。国内では珍しいスコットランドの民族楽器バグパイプ奏者で全国のビールやウイスキーのイベントでの演奏も行っています

新しい圃場(栃木県芳賀郡市貝町市塙)


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新年早々に市貝町に借りた家に泊まり、新しく借り受けた圃場の除草から始めました。
ずっと耕作放棄地だったのですが、貸主さんが定期的に草刈り機で除草をしていてくれていました。書類等が全て終わり家を借りたのが9月、ちょこちょこと生活用品を実家で使っていないものを運んだり買い足しをして、11月に小山の圃場の収穫が終わってからは農業資材で運んでも問題ないものを市貝の方に運んでいました。

除草をして畑に戻していき土壌改良をする

市貝町市塙、自分の圃場の周りを見ても草が伸び放題で荒れている畑や田んぼがいくつも見受けられます。僕の圃場も立場としては同じような部分がありますが、その中ではかなりまともと言うか整っています。

圃場のすぐ近くに家も借りているので移動のしやすさは抜群です。小屋もあるので農機具等は片付け可能です。

草も伸び放題で刈れていたので、このタイミグで除草から始めました。

畑と草刈り機
畑とトラクター

畑と田んぼを借りていますが、まずは畑から整備していきます。田んぼの方も1年間をかけて畑にして行きます。
写真の通り草が伸びて枯れているので、この枯れた草を除草しないといけません。耕作放棄地の中には本当に放置をされ続け気が生えてしまっているようなところも多くありますが、ここは幸いにも草だけで済んでいます。それでも茎が少し太くなったものも畑に点在をしていました。草も長く伸びたものが枯れているので、まずは大まかにでも草刈り機で刈ってからトラクターをすることにしました。

冬場は夏場と違い枯れているので除草もしやすい状態になっています。

今回、除草というよりも「土壌改良」という方が正しいです。僕のしている農法は「玄米アミノ酸微生物農法」と言います。農薬や化学肥料は使用しません。土壌の微生物に活動をしてもらい土に活力を与えて作物を育てます。「土」が大切と農業では言われますが、そのための土台作りのために土壌改良を定植前までにやって行きます。

土壌改良は「農作物が育つために土壌の状態を良くすること」です。例えば「水はけの悪い土壌を、砂や石を加える事で水はけを良くする」これも土壌改良の1つと言えます。その逆で「水が乾きやすい土壌に、乾きにくい土を混ぜ、乾きにくい土壌にする」これも土壌改良です。



農家さんが土に牛糞や鶏糞などを撒きますが、これも土壌改良です。

僕の場合は「乳酸菌もみ殻ぼかし」を自作して、それを畑に撒いてプラソイラという長い詰めのようなものをトラクターに付けて引っ張りながら天地返しをし酸素を含ませ団粒構造土を作り、もみ殻ぼかしに付着している微生物の活動しやすい環境を作り、土壌中の生態系バランスを整っていきます。農作物に良い影響を与える微生物を増やし、病害虫の発生を抑制することができます。年々と畑の状態は良くなっていきます。

乳酸菌もみ殻ぼかしを土壌改良に使う

発酵中の乳酸菌もみ殻ぼかし

農薬や化学肥料、有機肥料を多用している場合は使えば使うほど土は痛んでいきます。そして、その速度は年々加速をしています。そして地力の低下につながります。

地力を回復させるのは微生物だけです。その微生物の力は作物の収穫が終えたこの冬場でも生かすことが可能です。
なぜなら、気温は低くても土の下15㎝以下では気温が15~16度と安定しているからです。その中で微生物は働くことができます。さらに言えばその温度帯は活動しやすい温度帯となっています。

この微生物は多くなればなるほど土壌への影響は大きく、それによって地力は出てきます。地力が出るのであれば肥料は少なくて済みます。コロナ禍や円安の影響で農業資材の価格高騰が止まりません。慣行農法では化学肥料を多用するのでこれまでとは比べものにならないほど肥料や飼料への経費負担は免れられません。更に昨年を元年とする世界的な異常気象による世界中で作物が育ちにくい環境になってきています。

そのような大きな環境の変化、経済の変化で立ち行かなくなる農家さんも出てきています。農薬を使い続ければ土地は痩せて行きます。痩せたから価格肥料を加えて行きますが痩せて行くことに追い打ちをかけて行っているようなものです。

「無農薬は作物を育てるのが大変!」と言われますが、それしか知らない僕にとっては慣行農業のほうがやることが多く感じずにはいられません。

乳酸菌もみ殻ぼかしについては以前のブログを参考にしてください。

肥料となる「もみがらぼかし」について

基本的に僕の行う玄米アミノ酸微生物農法では追肥も、もみ殻ぼかしだけです。なので時間があれば、もみ殻ぼかしを作るという時間にしています。発酵をさせるので約1カ月の時間がかかります。

田んぼを畑に土壌改良

田んぼ
田んぼ

除草最中の畑以外に、歩いて1~2分の所に田んぼも借りています。こちらは「田んぼから畑に土壌改良」を目的にしています。田んぼは水が溜まるように粘土質ですが畑は水が溜まってしまうと作物を育てられません。でも土壌改良をすることで畑として使用できるようにと思い借りました。「だったら畑を借りた方が良いんじゃない!?」と疑問に思うこともあるかもしれません。確かに畑を借りた方が効率は良いと思います。しかし田んぼを借りて畑にする利点が大きいことがあります。

田んぼを畑にするメリット

  • 使いやすいきれいな四角形の形状
  • 水路が確保されている
  • 畑に比べ残留農薬が少ない

田んぼを畑にするデメリット

  • 労力がかかる
  • 時間がかかる

草が枯れていること、冬場で乾燥していること、田んぼ用の用水路が解放されていないことなど、この冬の時期だからこそできる条件が重なっています。田植えの時期になると雨も降ってきてしまうので水が溜まりやすくなります。その前から土壌改良をして行った方が良いわけです。

緑肥の種をまいて、プラソイラで土壌にすき込んだりとやることは多岐に渡りますが、日本の田畑の面積率を考えると田んぼの方が多いです。しかも作業をしやすい四角形ということを考えただけでも土壌改良をする意味があります。さらに農家さんの高齢化に伴い田んぼも耕作放棄地が増えています。借りやすい条件がそろってきているので土壌改良という技術を身に付けて行きたいと考えています。

この冬の時期が土壌改良の勝負

これまでの小山市の畑

1月2日から新しい圃場の市貝町市塙に行くようになりました。この2年間使用させて頂いた畑は当初の予定通り大規模農園さんが野菜を作っています。

市貝まちの畑は既に除草を始めていますが、土壌改良をして行くのはこれからが本番です。生姜の定植は4月中旬~5月のゴールデンウィークほどまで。昨年の2022年は土壌改良以前に何も出来ずに定植をしたという苦い経験があります。

初めて農業を行った2021年は畑を借りた2月中旬から何度も何度も畑に行ってはもみ殻ぼかしを作って畑に撒いてプラソイラをかけて出来る限りのことを行いました。結果的に非常に良い生姜が収穫することができました。農薬も化学肥料も使わずに農業もやったことのない僕が生姜を育てることができました。だからこそ昨年2022年は非常に良い経験になりました。土作りができていない中でどうやったら生姜を大きく育てられるかを考えながら試行錯誤をしました。定植量も少なかったし不安もありましたが、それでも思っていた以上の大きさで収穫をすることができました。

良いも悪いもこの2年で経験をしました。

あの初年度の気持ちを元に、2年目の反省点を活かし、この冬の時期は土壌改良に注力をして良い土作りを心がけます。

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