「ビア」と付くが決して「アルコール飲料のビール」ではありません。
このジンジャービアは日本国内において実際に飲んだことのある人は少ない部類に入る飲物。名前の通りジンジャーと付くだけあって生姜を使用して作られています。
口に含もうとすると、まず生姜の風味の強さを感じます。鼻を近づけるだけで少しムズムズするような感覚もあります。材料は非常にシンプルで、生姜、水、砂糖、レモンジュース。そしてドライイーストを加えて発酵させて作ります。炭酸を感じることができるのですが、これは炭酸を加えたのではなく、発酵によって生じる炭酸になっています。
18世紀からイギリスやその植民地で飲まれてきた歴史がります。その昔はしっかりとアルコール分もありましたが、1855年にはアルコール分2%以下に制限がされました。つまり、まだまだ近年の話で20世紀初頭まではメジャーな飲み物であったというのが、このジンジャービアです。
前回のブログで、ジンジャーエールの起源がこのジンジャービアと書きました。
ジンジャーエールはイギリスのビクトリア朝時代のヨークシャー地方で始まったとされるアルコール飲料「ジンジャービア」が起源
このジンジャービアに取って代わったのがジンジャーエール。現在の北アイルランドのベルファストで1851年頃にアメリカ人の薬屋・外科医トーマス・カントレルによって発明されたのがジンジャーエールです。これよりも前にジンジャービアは存在し飲まれていました。
ジンジャーエールは「スパイシーな生姜シロップを炭酸で割ったもの」に対して、ジンジャービアには「炭酸を入れない」という違いがあります。
しかし、ジンジャービアを飲むときには、しっかりと炭酸を感じることができます。この炭酸はジンジャーエールのように炭酸を足したものではなく「イーストの発酵」により生まれた炭酸です。
そして、発酵ということ以外に大きな違いがもう一つあります。それはイーストの発酵によって生まれる「アルコール」も決定的な違いの一つです。
含まれるイーストや砂糖の量、発酵具合によってアルコール度数は変わってきます。0.5%~2.5%くらいになるとも言われますが店舗で提供をする場合は日本の酒税法に従い1%以下にする必要があります。先にも書きましたがイーストと砂糖の分量、飲みきるまでの時間等を考慮して作っています。
店舗でジンジャービアを作るときですが、気を付けるのはアルコールに関してです。日本での酒税法では以下のように記載されています。
日本において酒類製造免許がない状態でのアルコール分を1%以上含む酒類の製造は、酒税法により原則禁止されている。 これに違反し、製造した者は酒税法第54条により10年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられる。
酒税法
法律はきちんと守りましょう。
作りやすい分量:500mlペットボトル2本
生姜(生) 60g
三温糖 60g
水 1L
レモン 1/2個分
ドライイースト 3g
※三温糖の無い場合はグラニュー糖でも大丈夫です。
●お好みのスパイス クローブ 3本 黒コショウ(粒) 5粒 コリアンダー 5粒
【注意】
発酵させるので必ず炭酸の空ペットボトルで保管してください。
通常のペットボトルでは破裂する可能性があります。
1:レモンはしっかりと中性洗剤で洗い皮をむいておく。
※皮は煮込みで使い、実は絞ってレモンジュースを取っておく。
2:生姜はサッと水で洗って皮ごとすりおろす
3:鍋に水、レモンの皮、三温糖、スパイスを入れ沸騰をしたら
火を弱め15分コトコトと煮る
4:15分経ったら火からおろし45℃まで冷ます。
5:45℃になったらレモン汁、ドライイーストを加えよく混ぜ溶かす。
6:裏ごし、しっかりと水分を絞りきりペットボトル2本に入れる。
15~30℃の気温で4~6時間でペットボトルが膨張しパンパンになります。
触って硬かったらゆっくりとキャップを緩めて「シュッ」とガス抜きをしたら
冷蔵庫に入れ冷やしてください。
冷やすことで発酵スピードが落ちます。
※一晩寝かすと全体の統一感が生まれ発酵による炭酸がより良くなります。
※必ず1日に1回キャップを緩めてガス抜きをしてください。
しっかり冷えたジンジャービアはそのままでも美味しいです。
レモンやライムを入れたり
ミントを加えても香り良く楽しむことができます。
2021年、コロナ禍により飲食店でお酒の提供ができないという事態になりました。アメリカで行われた禁酒法が、現代に、しかもこの日本で起こるとは思いもしませんでした。しかし、お酒の提供ができないという事で、色々なことを考え、試作をしては提供するということを、これまで以上に考えています。
飲食店というのは何なんだろう?
この疑問は、毎日毎日、何度も何度も考える質問です。厳しい情勢の中でも、少しでも飲食に関係することで楽しんでもらうという事を考えれば、それは飲食店をしているものにとって考えなくて履けないことなのかもしれません。むしろ、これまでの日常では感じることん出来なかった幸せというものを再発見できたのではないかと思っています。
最後に繰り返しになりますが、家庭や店舗など免許のない状態でアルコール1%以上のお酒を造ることは法律で禁止されています。法律を正しく守り、お楽しみください。