神楽坂で2011年にスコティッユパブ「ザ・ロイヤルスコッツマン」を開業しながら、2021年より無農薬農業を始め、食を通じての体験や考えをまとめたブログです。食育インストラクターでもありオーガニックの普及に努める。国内では珍しいスコットランドの民族楽器バグパイプ奏者で全国のビールやウイスキーのイベントでの演奏も行っています

香り広がる自家製ジンジャーエール


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コロナ禍での3回目の緊急事態宣言はこれまでと違い、お酒の提供ができない事態になりました。店舗のメイン商品はビールやウイスキーなどのお酒。何とも厳しい処置と思いながらもパブという空間で禁酒を楽しんでもらおうと思いついた商品の1つが「手作りのジンジャーエール」でした。

タイミングが良いのか悪いのかは分かりませんが、今年になり農業をスタートさせ初定植を終えた作物が「生姜」。そうです!ジンジャーです。これは面白い!そう思い、作り方を調べて試作をしましたが、ジンジャーエールそのものの歴史というのも勉強ができました。

ジンジャーエールの起源

発明

ジンジャーエールは一般的に2種類あります。スーパーコンビニで以前より販売されている「カナダドライ」そして飲食店などがカクテルの割物として使用をするスパイシーな「ウィルキンソンの辛口ジンジャーエール」です。

このジンジャーエールですが、名前に「エール」と付いています。ビールが好きな方でしたら「お酒の単語だよね!?」と思う方もいると思います。このジンジャーエールはイギリスのビクトリア朝時代のヨークシャー地方で始まったとされるアルコール飲料「ジンジャービア」が起源になります。

イギリスのジンジャービアを起源に持ちますが、アルコールを含まないソフトドリンクとして、1851年頃に北アイルランドのベルファストでアメリカ人の薬屋・外科医トーマス・カントレルによって初めて作られたと言います。

ジンジャーエールの発明

生姜

きちんとジンジャーエールとして商品化をしたのはイギリスでもアイルランドでもありません。海を渡ったカナダです。

1907年に現代のカナダドライ版のジンジャーエールを、カナダの薬剤師「ジョン・マクラフリン」が発明しました。これは特許申請がされました。

マクラフリンは1885年にトロント大学を卒業し、薬局で金メダルを獲得するほど優秀な薬剤師でした。マクラフリンはビジネスマンとしても優秀で1890年までに、カナダのトロントに炭酸水工場を開設。そこで造られる炭酸水を地元のドラッグストアに製品化をして販売を始めました。さらに炭酸水を使用してフルーツジュースやフレーバーを使って、レストラン、ファストフード店、コンビニなどで利用される、清涼飲料水を供給するための簡易な装置「ソーダファウンテン」の利用をしている顧客に美味しいフレーバーソーダとして販売もしていました。



マクラフリンはこのように独自のフレーバーソーダ飲料のレシピを色々と作りました。1890年にマクラフリンベルファストスタイルのジンジャーエールを作成しました。このベルファストというのはアイルランドの地名ですが、あの沈没をしたタイタニック号が作られたのも、このベルファストです。昔から造船をはじめとする製造業が盛んな地域なんです。そしてアメリカ人の薬屋・外科医トーマス・カントレルによってジンジャーエールが初めて作られた土地でもあるんですね。このような関係性を見るとカントレルもマクラフリンも共に薬に関係する職業です。何か通じるものがあったのでしょうか?

更にジンジャーエールを大量に瓶詰めする方法を開発し、販売を成功させました。マクラフリンベルファストスタイルのジンジャーエールの各ボトルには、カナダの地図とビーバー(カナダの国の動物)の写真がラベルに記載されました。個人的にですが今のカナダドライのロゴよりも愛嬌があり良いなと思います。

画像引用:Eat & Drink

このロゴを見るとビール好きは気付く単語があります。「PALE」という単語です。僕が大好きなビアスタイル「ペールエール(Pale Ale)」この「ペール(Pale)」と同じです。

ペールエールはイギリス発祥の金色〜銅色をしたビールで、モルトの豊かな香りに軽やかなホップが特徴的で非常に飲みやすいビール。 イギリスの伝統的なスタイルなんです。ちなみに言えばビターというアルコール度数3%台ビターというスタイルが一番好きです。個人の話はさておき、このペールエールはのアメリカに渡りホップを更に加えられ華やかな香りとホップのビター感が増したアメリカンペールエールとなり、クラフトビールの底辺を作りげ、世界的に人気になったという背景があります。

その「ペール」とは「淡い」などと単独で訳されます。最初の頃は色懐いた砂糖を使用をしていたために濃い色のジンジャーエールだったそうですが、砂糖の精製技術が上がり砂糖の色も白色に近づき、それを利用するにあたり色が淡くなったとも言われます。

1907年までに、クラフリンは、暗い色をしたジンジャーエールを明るくしました。さらに味をシャープに改善することで洗練した味付けになりました。このことでマクラフリンが特許を取得したのが「カナダドライペールドライジンジャーエール」になりました。上のロゴにはすべてが表示されています。

時が過ぎ1922年5月16日、「カナダドライ」ペールジンジャーエールが商標登録されました。ちなみに「ジンジャーエールのシャンパン」と有名な文言は、カナダドライの商標でもあります。

自家製ジンジャーエールのレシピ

Youtube:ともちゃんねる

自家製ジンジャーシロップの材料(作りやすい分量)

生姜(生) 90g
ザラメ(茶色)120g
水 150g
ライムの皮 1個分
シナモンスティック 1/2本
クローブ 2本
赤唐辛子 1/2本
黒コショウ(粒) 5粒
スターアニス 1/2個
山椒(乾燥・実) 5粒

自家製ジンジャーエールの材料

氷 
ジンジャーシロップ 
炭酸水 

※全てお好きな分量でOKです!

自家製ジンジャーシロップの作り方

※シロップを作ったら保存が必要になります。
奇麗な瓶が良い状態で保存ができますがタッパーでも問題ありません。

1:水とザラメを鍋に入れて火にかけて一度沸騰をさせ火を止めておく。

2:生姜はサッと水で洗ってスタイス

3:ライムはしっかりと中性洗剤で洗い皮をむいておく
  ※使用するのは皮ですが、実の方は絞ってライムジュースを取っておく
   グラスにシロップを入れて炭酸を満たすときに加えると爽やかさが増し
   キリっと引き締まって美味しさ倍増です。

4:生姜の半量、ライムの皮、スパイスを1の鍋に加え沸騰直前まで火にかける。
  沸騰をしそうになったら弱火でコトコト5分間煮る。

5:5分経ったら火を止めて半量残しておいた生姜を加え全体をしっかり混ぜて
  そのまま常温で置き粗熱が取れ冷えるのを待つ。
  ※生姜を2回に分ける理由は、生の生姜の持つフレッシュな香りと辛さを活かすため
   煮てしまうとフレッシュ感が減ってしまうので後で足すことで補います。

6:冷えたら保存瓶やタッパーに移し替え冷蔵庫で一晩味をなじませる。
  ※一晩寝かすことで全体の統一感が生まれ生姜の風味が抽出されます。

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一晩寝かしたら、しっかり裏ごしをして保存瓶やタッパーで保存をすれば
いつでも簡単にジンジャーエールを作ることができます。
生姜やスパイスはシロップに漬けてておいても問題はありませんが
やはり味が濃くなってバランスが悪くなってしまうので
お店では一晩で裏ごしをして材料を取ってしまいます。

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自家製ジンジャーエールの作り方

1:コップに氷を入れる
2:ジンジャーシロップをお好きな量入れる
3:ライムジュースを少し加える
4:炭酸水を入れ軽く混ぜる

美味しい自家製ジンジャーエールの完成です!

最後に

出来上がった「淡い」スタイルのジンジャーエールは、米国の禁酒法時代(1920~1933年)に、お酒の代わりに飲むノンアルコールドリンクとして受け入れられ人気が出ました。

2021年4月末に発令された緊急事態宣言。時を経て禁酒の時代がやってきました。今飲むべきもの、それがジンジャーエールです。

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