Life is Cooking for Kitchen Boys

飲食店を10年やって始める農業

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飲食から考える農業といもの

飲食業界に長いこと在籍をして現場で仕事をしていて、生産者を考えることは非常に多いことです。大手チェーン店であれば決められた業者から決められた食材を注文することが多いのですが、近年は大手チェーン店はその取引量を力に直接生産者から仕入れを行い、食材の安全性を前面に出すことも少なくはありません。むしろ、そういう取り組みとしては個人店の方が遅れているのかもしれないと思うことがあります。しかし農業界のIT化によりDtoCが進み中間業者からではなく、生産者から直接注文という個人店も多くなっています。

僕自身も生産者の元を訪れて、直接現場を見て話し合いを重ね契約をすことが非常に多いので、最近のこの流れの速さを感じずにはいられません。特に昨年から世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスの影響によるものと感じています。生産者自身も脱JAをし独自でオンラインショップや直売所を設けて直接消費者販売をする方も増えています。これまでの大量生産されたものを購入するのではなく、生産者が見えたり、こだわりの物を購入するという消費のカタチにシフトしています。新型コロナウイルスにより大きな生活スタイルの変化が消費というものを変えたとも言えます。

食料自給率の低さ

日本の食料自給率は、ピークだった1965年度は73%から右肩下がりで、2000年度以降は、40%前後で低迷しています。2019年には38%とピーク時の約半分ほどにまでなっています。これはあくまでもカロリーベースですが、先進国の中で特に低い数字になっています。

日本という国はヨーロッパやアメリカなど欧米諸国に比べると国土面積は少ないという現状があります。日本の国土面積は、約3,778万haです。(1haは1万平方メートルで、坪に換算すると、約3025坪)その大部分が実は山地になっています。北海道から九州・沖縄までの日本全土において森林面積は国土の2/3に達するとも言われます。この割合は世界平均の31%を大きく上回っています。そして人口1人当たりの面積でみると、世界平均の約1/4の0.21ha。
しかし、標高100m以下の低地は、全体の28%(約1,025万ha)。山地は起伏が激しいところが多く、実際に人の住める土地面積もほぼ30%前後といわれます。この限られた中に僕たち現在1億2,200万の人々が生活しているのが、この日本という国です。

僕が農業に興味を持ち始めたのは昨年の6月ごろです。コロナ禍のなかで飲食という仕事をしているがゆえに、毎日歯がゆい営業の日々でした。そして食育インストラクターの講習を受け始め、年末に試験に合格もしました。ちょうどこの講座に参加している最中のテキストでの日本の食の現状の低さということが様々な個所に書かれていたことをきっかけに『農業をやろうかな』と頭の端っこの方で思うようになりました。

日本はお米の食文化です。お米が作られる水田は約300万haで国土の7.9%、そして畑は約240万haで6.4%、耕地全体でも約540万haと、国土の約14%にしかすぎないんですね。これがどれ位かというと、ヨーロッパの主要国では、国土の30~50%は耕地で、人口1人当たりの耕地面積になおすと0.17~0.3haです。日本と同じ島国のイギリスでも、人口1人当たりの耕地面積は0.33haであるのに対して、日本はその8分の1のわずか0.04haにすぎないという驚きの数字があります。そしてその耕地が今現在、手つかずになり耕作放棄地して日本中のいたるところに存在をしているのが今の日本という国です。

耕作放棄地とは?

耕作放棄地といのは、「以前は耕地(田畑)であったもので、過去1年以上作物を栽培せず、しかもこの数年の間に再び耕作する考えのない土地」と農林業センサスにおいて定義づけられています。つまり、耕作放棄地とは、耕作が行われていない田畑で、近い未来にも耕作栽培の予定もなく、ただ放置されている農地ということが言えます。

農業をやる人が少なくなり、今の現状でも高齢の方が多く、農地は年々減少を続けています。宅地等に転用されたりもしていますが、やはり耕作放棄地は年々増え続けています。日本の耕作放棄地の数字の移行ですが、昭和50年13.1万haに対して平成27年42.3万haです。41年間で3倍越えという移行スピードで耕作放棄地が増えています。

食料自給率の低さ、耕作放棄地の増加を考える

現在、世界では人口増加が進んでいます。これがどういうことを意味するかというと。人口増加に伴い食糧不足の問題が大きくなってきています。

日本は食料自給率が非常に少ない国です。しかも狭い国土に1億2,200万人もの人が生活をしています。2020年4月を思い出してみてください。コロナ禍による緊急事態宣言の発令と同時にスパーやコンビニから食料が消えました。その後は購入点数の制限が出されたりと今まで何不自由なく買えていた食料が買えない、食事ができないという現実が襲ってきました。

これは日本だけの話ではありません。多くの先進国でも同じようなことが起きました。しかし他の国と違い日本には、そもそも食糧が少ないという現実があります。これを頭に置いて少し考えてみてください。もし、食糧不足が進んだら、いずれ各国は必ずと言っていいほど自国のためだけに食糧を生産確保するようになります。輸出は確実に控えるようになります。そうなったとき、現在の日本の食料自給率が38%で、それ以外の62%を輸入に頼っている日本はいずれ輸入困難になり、食糧が不足するという深刻な問題に直面をします。考えると怖いですが、現実に起こってもおかしくない状態です。世界的な情勢をはじめ、世界規模の環境破壊、環境汚染による地球温暖化。待ったなしの状況は実はすぐ目の前なのかもしれません。それを僕はコロナ禍のなかで考えました。

農業を事業の1つとして始めよう

2月から実家の小屋を借り400kgの肥料作りを始めました。3月に入りトラクターで畑も耕し始めました。4月下旬から5月頭には定植をします。農家として一気に動き始めました。今現在の畑の規模は0.5反です。反は『たん』と読みます。

1反 = 300坪(990㎡)、つまり150坪の農地を一人で始めました。来年は3反と6倍の広さの予定で、3年後は1町を目指します。町は『ちょう』と読みます。広さは1反の10倍です。つまり3,000坪です。ちなみに東京ドームのグラウンド面積は13,000㎡で3,940坪です。だいたいそれくらいを3年後にはやります。

400kgの肥料になる材料を集め、6時間かけて混ぜ込みました。僕は神楽坂在住ですが、畑は栃木県小山市にあります。移動です。今のところ定休日は畑に行き、木曜日あたりも畑に行き肥料の上下中外を入れ替えることをしています。朝6:00に起きて9時半ごろに畑に到着し作業開始です。色々とやって14:30には小山を出て17:00過ぎに店に戻ってきて仕事をします。それの繰り返しです。

近所の方とか、お客さまからも『大変でしょ~!』との声を頂きます。確かに大変ですが、面白いです。凄く楽しいです。でも、みなさん『頑張ってね!』との言葉も必ずといっていいほど掛けてくれます。ありがとうございます。

僕は高卒からずっと東京で生活をしています。43歳ですが人生の半分以上は東京です。さらに途中フランス行ってます。地元に帰ることも非常に少なかったのに、この2ヶ月の間に何回帰ったことやら。なので地元の人が僕を見に来ます(笑)

『わざわざ帰ってきて畑やるんだって!』

と、ほぼ全員が同じように言いながら顔を出してくれます。そのときには僕の小さい頃の話をしてくれたりと。何だかほんわか温かい感じがします。

農業を始めるのに地元の小山に帰っていますが、農業というものが地域のコミュニケーションそのものだと強く感じています。肥料の材料先を教えてくれた市の方。途中で畑に積んであった肥料の材料が見え車から降りて農家さんの所へ行き『少し分けて欲しい』とお願いをすると快く分けてくれ、さらにその方が育てた野菜も箱いっぱいに分けていただたり、トラクターを探していて農家を辞めた家々を歩いて『農業を始めるけどトラクターが無いので貸してほしい』ということを聞き歩き、快く承諾をしてくれた方。差し入れを持ってきてくれた方。まだ農業に関わって2か月足らずですが人としての優しさを非常に感じることが多いです。


農業というものが地域に果たす役割は「つなぐこと」ではないかと考えるようにもなりました。人と人。僕のお店はパブという英国の伝統的コミュニケーションの場です。その延長上に農業がありました。


持続可能な地域社会ということへの取り組みということにおいても農業は大きな可能性を秘めていると感じずにはいられません。

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