神楽坂で2011年にスコティッユパブ「ザ・ロイヤルスコッツマン」を開業しながら、2021年より無農薬農業を始め、食を通じての体験や考えをまとめたブログです。食育インストラクターでもありオーガニックの普及に努める。国内では珍しいスコットランドの民族楽器バグパイプ奏者で全国のビールやウイスキーのイベントでの演奏も行っています

畑の拡張について


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2021年2月に初めて畑を農家さんから間借りして農薬・化学肥料を使わずに生姜栽培を始めました。農業をすること自体が初めての経験でしたが、コロナ禍で飲食店は時短営業がメインだったこともあり始める良いきっかけになりました。

0.5反(約150坪)に300kgの生姜の種をまき1人で農作業をして収量は1tを超えました。なかなかの仕事量でしたが自分ではもうちょっと行けたかなという気持ちが残ります。しかし、素人が栽培の難しい生姜を収穫することができたこと自体が奇跡のようなものなのですが、出来るという自信はありました。料理に通じる感覚を農業に感じたからです。

収穫前には次の畑は場所を移して拡張をしようという計画でとにかく動きました。東京神楽坂から栃木にある数々の役場へ行き『農業をしたい!』という思いを伝えるという行動を幾度となく繰り返していました。

農業にとって新規に畑を見つける難しさ

農地

初年度の畑は、以前ブログでも書いたと思うのですが、いわゆる営業の飛込みのように『ピンポン』をしまくって直談判を繰り返し、農家さんから許可を頂いたという形です。正直な話、僕はこういうことをすることに恥ずかしさとかを感じず、むしろネタとして楽しむ性格なので非常に合っています。

しかし、今回はこのようなやり方で畑を見つけようとは思いませんでした。
理由として『さらに拡大をするときや、地域で飲食店をやるときを考えて役場や行政の人に会っておこう』と思ったからです。僕は普段は東京の神楽坂で飲食店をしています。パブなので夜型です。朝から日中が移動と畑仕事ということになります。夕方には飲食の仕事に戻ります。これが基本的な時間の使い方です。夜型の飲食店をしながら農業をするということは、そう簡単では無いということが想像できると思います。実際にそうだと思います。

それを前提に、今回の畑拡張で苦労というか時間がかかったことを紹介します。

東京都内で飲食店をしているという問題

The Royal Scotsman

飲食店、しかも夜型のお店になると夕方以降が営業時間になります。営業前の午後の時間は仕込みや事務仕事。深夜に終わって片付け。このような時間で夜型の飲食店をする多くの人は動いています。普通に考えて、この時間のどこに農業をする時間がるんだ!?ということです。

多くの町役場、市役所でこれは確実に問われる質問の1つです。栃木県内、しかも畑の近くで飲食店をしていて、その近くに住んでいれば話は別ですが、東京と栃木という離れた場所で飲食をやりながら農業をすることへの不安要素を徹底的に言われました。『管理は出来るのか!?』『午前中に来れるのか!?』『誰がやるのか!?』それはもう完全否定から入ってきます。十分に理解できます。



僕の説明はとても簡単です。

とも

週に2~3回ほど朝、8:00過ぎには畑に来て14:00~15:00くらいまで畑仕事をして17:00~18:00には店に戻って仕事します。

役場職員

いやぁ~小貫さん、それは大変でしょう!

何度も何度も言われている僕にとって、そんな言葉は大した意味を成しません。
お決まりの言葉という認識でしかありません。なので僕もお決まりのセリフを返します。

とも

何か始めるのに大変とか言ってら始められますか!やると決めたらやるんですよ!だから役場は変わらないんですよ。

攻撃的に聞こえると思うんですが、これくらい言わないと反応してくれないのを僕は何度も経験をしているので知っています。東京で飲食店をやりながらとか・・・と言うと始めから『無理』という考えしか無いので、そこを変えてもらって興味を持ってもらう必要性があるからです。

東京と栃木という距離と時間の問題

湘南新宿ライン

これも非常に分かりやすい問題です。東京と栃木では約100kmほどの距離があります。東北自動車道を使って1時間40分ほど。新幹線で50分、普通電車で1時間30分。片道2時間ほどの時間が必要になります。往復で4時間です。

僕の飲食店の業態も説明の上で、どのように時間を作るのかはいつも言われます。でも、僕にとって時間は自分で作るものなので自分の生活時間を考え、その中で時間を作れば良いとしか思っていません。有難いことにスタッフもいるので畑を行く日というものを作ることも可能ですし、準備もしてくれます。営業に間に合うように時間を作ります。

トモ

朝、5:00~6:00に起きて準備して直ぐに出かけて8:00~9:00には畑に入ります。18:00くらいには店に戻って24:00まで営業します。

役場職員

片付けをするともっと遅いですよね?何時くらいに寝るんですか?

トモ

いつもは4時過ぎです。でも、畑に行くときは早めに寝ます。たぶん3時過ぎくらい・・・3時間も寝れば十分です。

役場職員

寝てないじゃないですか!!そんなんじゃ農業なんて出来ないですよ!!

何度、このやり取りをしたことか・・・。『農業をなめるな!』くらいの反応を見せられますが、こっちはいたって真剣なのでキレたこともありました(笑)すみませんでした。でも、それくらいしないと飲食店のある東京と、畑のある栃木県を両立しながらは行き来できません。人を雇えばそうしなくて良いのは分かっています。でも、自分が自分でやると決めたことなので、この方法しかないんですね。

型にはまらない人間は面倒

レッドカード

僕自身、僕は常識的な考えを物凄く持っているけど、それを常識だとも考えていない。

こう自分を分析しています。常識的なことっていうのは、挨拶をするとか返事をするとかこういうこと。でも考え方や行動に関しては常識が常識じゃない部分が非常に多いです。役場でも上のような対応をするので面倒な奴が来た・・・と思われたことは多いでしょう。だからって諦めることはりません。むしろ相手を折りに行くくらいの気持ちです。

メールより電話、電話より会いに行って直接話す。だから何度も何度も行きます。30分もしない会話に往復4時間なんて当たり前です。1回より2回、2回より3回と回数を重ねます。でも、顔を合わせているうちに会話が長くなっていきます。隣のデスクの職員さんが挨拶をしてくれます。そうやって重ねた回数は強いです。そして、それは次第に信頼に変化します。これを獲得するために僕は時間を費やします。

日誌を付けデータを取る

農業を始めたときに何もかもが分からないことだらけだったので、翌年にも活きるようにデータを付けることにしました。飲食店であれば現金の仕入れなのか、買掛なのかとか売上とか棚卸とか当たり前のことです。それを日々の畑仕事ごとにチェックをして行きました。

農業日誌

写真は、昨年の定植前から収穫後までをガントチャートで計画を立てて、その計画を実施しながら何をしたのかを記録をして行ったものです。その日の天気だけでなく気温、湿度なども記録。やったものはチャートを塗って目視化できるように。さらに細かいことは下に書いて行っています。

農業日報

上の写真はちょうど定植時なので畝を作って種を何センチごとに何個植えたとかを書いています。このように日々の作業を記録して行ったことで、今年の計画も立てやすく、昨年との対比をすることが可能になってきます。こういうことをやってます!ということで役場の方と話をするときにも資料として使うことができます。こういうのを見せると具体性が見えてくるので、少しは良く見られます。

畑を拡張する意味

農業体験

これ、凄く大切なことです。別に今の畑を借り続けることはもしかしたら可能かもしれません。小屋もかりてるし、水道も使える。とても便利です。でも、離れます。

まず、新規就農という一つの目標があります。農家とのハードルのようなものです。字を見ると分かるのですが新規に農業に就職ということです。しかしながらこのハードルが異様に高い のが農業です。そのためには決められた広さの畑を借りて農業をすることが必須です。そのための広さが必要なので拡張をします。

畑の拡張だけでなく、工場兼飲食店を作ろうと考えています。そのためには更なる土地の確保が必要になります。色々なことで役場との連携が必要になります。だから何度も通って顔を合わせ話をして信頼を付けています。次の畑を探すのも楽になります。地域で認知もされるようになります。

農業は、ただ作物を作るだけではありません。僕は始めたときからそう思っています。隣の畑の人との会話、小屋を貸してくれているお婆ちゃんとの会話、資材屋さんとの会話、農協との会話、近所の方との会話、その地域の色々な方と会話をしてコミュニケーションを取っています。それが地域としてのコミュニティーに深く関係していると僕は考えています。そういうことが増えると地域は大きく変化をしてくると信じています。自分の地域を誇らしく思う。素晴らしいことだなと。過疎が進み高齢化が進み、農業も荒んで地域に元気が無いのは、神楽坂で飲食店をしている僕にとってもったいないなと思います。外から見たら自然豊かで色んなものが眠っている可能性に満ちた地域です。

畑を借りるのに飛び込みでピンポンをするくらいなので、自分からどんどん話しかけます。その地域の女子高生にも話しかけます。僕から見ると、高校生や大学生はこの地域のどこに集まっているんだろう?という疑問があるからです。おばあちゃん、おじいいちゃんはどこで集まってお茶をしているんだろう?休みの日とかどこに外食をしているんだろう?気になることはいっぱいあります。そういうことを地元の人に聞くという大切な仕事があります。そういう不満とかを聞くことで見えてくるものが多くあります。

地図を見て、ここが駅(無人)、ここが昔のメイン通り、飲食店の数、家の多い場所、高校、・小学校の場所、神社の場所。こういうのを調べます。どんな関係性がるのかを調べます。ただ農業をしたいだけならこんなことは必要ありません。でも、僕にとっては凄く大切なことです。なぜなら『地域』を見て考えているからです。だって、そのほうが楽しそうじゃないですか!

最後に

耕作放棄地

農業をするということにおいて、畑の拡張というか、畑を探すということは意外にも難しいものなんです。でも、それをしないと農業をちゃんと始めることができません。家庭菜園レベルなら何も問題はありません。

色々と回り道はしましたが、行動力と理解力のある農業委員会担当者さん、農政課担当者さんから推薦を頂いて『畑のあっせん』をして頂き、明後日、7月5日(火)に畑の所有者の方を交え畑の貸し借りについての協定のような日です。

その地域の農政課さんから年度初めの総会で『畑のあっせん』についての案内を頂きました。僕に優先的に畑のあっせんをするということを総会で話すということです。総会が終わり、GWが終わると役場は本格的に動き出します。その頃に電話を再度頂き、農地を見に行く段取りをつけました。そして農地を見て回り、気になった畑の所有者の方に連絡を取りつけて頂き、3者で会うというところまで来ました。僕個人はその畑を借りたいと思っています。もし借りることができたら、今の畑で生姜を育てながら、この新しい農地を来季の定植に向けて土づくりを行う大切な期間になります。トラクターを移動したり、資材なども全て引っ越しをするという形になります。場所が離れているので少し大掛かりにはなりますが、スタートラインに立てるところでワクワクしています。

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