神楽坂で2011年にスコティッユパブ「ザ・ロイヤルスコッツマン」を開業しながら、2021年より無農薬農業を始め、食を通じての体験や考えをまとめたブログです。食育インストラクターでもありオーガニックの普及に努める。国内では珍しいスコットランドの民族楽器バグパイプ奏者で全国のビールやウイスキーのイベントでの演奏も行っています

今期の畑について考えること


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日本国内にて生姜の生産の多い高知県では、定植が始まっていて大忙し。関東でも5月のGW過ぎまでには定植というスケジュールになっています。昨年は僕自身も2月に畑が決まり、もみ殻ぼかし作りに追われながらトラクターにプラソイラを付けて何往復もしていて、定植に向けて計画をしていた段階でした。

今年もそうしていないといけない時期なのですが、借りる予定だった畑が白紙になってしまったのが1月。そこから農政課さんに行っては話をして農業委員会の方を紹介してもらい農地を見て回るということをしていますが、まだ確定をしていない状態です。そんな中、先週に色々と指導をして頂いている農業の先生と1時間じっくり今後のことについてや将来んことなどを話していて、今日も1時間ほど育成に関する指導を受けながら、今期のことについて相談をさせて頂いたりしていて考えがまとまりました。

土づくりの必要性

プラソイラをかけている畑

「良い土だと良い野菜が育つ」ということは農業をやっていない人でも聞いたことがあったり、そう思っている人も多いと思います。まさしくその通りなんですが、「良い土」と「悪い土」とは一体何なんでしょうか?これは一生の課題とも言うべき問題なのかも入れません。農業を始めてまだ1年足らずの僕には非常に大きな大きな問題です。

土づくりが大切と分かっていながら、当たら良い畑が決まらい状態で、もし決まったとしても今からだと本当に時間がありません。昨年の畑ならまだしも・・・新しい畑となると全部勝手が違います。もみ殻ぼかしを入れて耕してもいないし、耕す時間も少ないし、無いものだらけです。そのような状態の畑に種を植えても想像がつきます。もし、上手く出来たとしても、それまで何度耕したか、どれくらいの量のもみ殻ぼかしを入れたかなどデータが無いので成功するにも失敗するにも何が原因になるのかの検討すらつかない状態です。これでは意味がありません。このような問題を自分でも分かっているので農業の先生とZoomで今後についての打ち合わせをしました。

急がば回れ

近道と遠回り

「ローカルビジネス」として農業を捉えています。

農業をメインとするのではなく地域コミュニケーションの一つとして農業があり、そこから派生することで地域の役に立つ

これはブログでもメルマガでもSNSでも何度も書いていることなのですが、このことは農業の先生も知っています。農業に対いてこの様な考えがあるので、先生もアドバイスをくれました。

J先生

小貫さんの場合は畑だけでなく、その他の要因が非常に大きく農業との関わり合いを持ってくるから、焦ってるときに目の前に出てきた畑に飛び込まないように。

別に今年は生姜を作らなくても良いじゃい!畑なんてそう簡単には見つからないですよ。もし適当な畑を借りちゃったとしても簡単に返せないし、引っ越せないよ。

今は翌年のために準備を出来る限り行って、良い生姜を作る準備と、加工の準備をする時期なのかもしれないよ。今年1年を無理にやってこの先無駄にするか、今年1年は地味な仕事してこの先飛躍するか。「急がば回れ」地道にやってる姿は地元の人も見てくれるから。そうやって信頼は付くものだよ。

この様なアドバイスを頂いたので、僕も踏ん切りがつきました。焦って納得のいかない畑には手を出さない!



思いで人は動きます。動かされます。

相手を思いを伝える

畑を持ちたい地域が数か所あります。なので畑が出ればどこでも良いとはなりません。お店のお客様や興味のある方が畑を見たい、手伝ってみたい。そう考える方が既にいてくれています。そういう状況だから「不便な場所」に畑を持ちたいと考えています。町役場の方に必ず聞かれる「何でここなんですか?」という質問。僕は決まってこう答えます。

とも

ものすごく不便だからです!

役場の方も「はぁ・・・」「そうですよね。」などの返事しか出来なくなります。でも僕にとっては凄く魅力的なことがいっぱいある場所なんです。なので、こう付け足します。

とも

来る理由があるからです。車なり電車を乗り継いで都会から来てくれる人が、来てくれたときに行くのが不便とか、何にもないのが不便ということを体験が出来て、それが価値に値するからこの地域が良いんです。

電車で行くとなると池袋から90分、乗換するのに時間が合わないと30分以上は次の電車を待って、時間帯によっては1時間も。そこから2両の電車に乗って1時間。これで最寄りの駅に着きます。そこからはタクシーだけど、タクシー見たこと殆どありません。行くのにもこれだけ時間がかかります。帰りももちろん同じ時間がかかります。こういう場所です。

こういう役場に何度も何度も足を運んでは状況の確認をしたり質問をしたり、役場の方も僕の名前を覚えてくれる人が増えました。地域でやって行くのだから役場の方の協力は大きな力です。ぶっちゃけ、何でもルールを前提な話をするので例外なんてありえないわけです。そこに例外的な僕が電話じゃなくて直接行くのですから、役場の方にも本気度が伝わっていきます。アナログな方法かもしれないけど、アナログな地域だからこそ「東京から直接会いに行く」ということは大きな意味があります。

オテル・ドゥ・ミクニで仕事をしていたときに、自分の間違いに対して三國シェフに言われたことを今でもハッキリ覚えていて、それを常に心に置いています。

「信頼は得るのは時間がかかるけど、壊れるのは一瞬だ。一度壊れた信頼を戻すのには最初の時よりも時間がかかるし、戻る保証はない。」

これは自分への戒めに値する言葉として意識しています。

そのお陰と僕は思うのですが、つい先日「県の農業委員会総会が行われます。その中で小貫さんへの農地あっせんを農業委員及び農地利用最適化推進委員に伝えます。」と、目的の役場の方から連絡を頂きました。地域で育てる農業にするために力強い言葉を頂きました。

物事を長い目で見る

遠くを見る

「僕はこう考えてみたけれど、もしかしたら相手にとっては違うかもしれない。」

自分の思い込みが、あらぬ方向へ行き相手にとって不快な思いをさせる場合があります。このように物事を決めつけてしまっているときは、自分からのみの視点で物事を見ていて、相手やまわりを見る「複眼」が欠けている状態です。そして、このときほど短期で物事を考えているときは無いと思います。

ということは「あれは難しい」とか「あれは常識だから」ということも短期的目線だとも言えます。なので僕は「よく常識ってなってるけど本当なの?」と疑います。そうした方が色々な考え方や目線が持てるようになるので考え方が柔軟になります。

畑や農業に関して、よく言われる「常識」「しきたり」というものが色濃く残っていると感じることが多々あります。でも、僕にとっては「本当にそうなのか?」という気持ちがあります。この疑いがあるから、とにかく行動をしてみて答えに近づこうとします。常識にただただ従うよりも、別の答えの方が本当は良いかもしれないということを知らないだけの状態なのかもしれません。疑った方が可能性が高い場合もあり得るということです。

そして大切なのは「自分のものの見方だけで決定することは、思うほど多くなく、外部要因が大きく作用する」ということです。僕が時間をかけて何度も役場に行くだけでは畑は決まりません。その「時間をかけて何度も来る」という行動で役場の方の僕への見方や考え方が変わり動いてくれて畑が決まりやすくなる。ということがあげられます。

役場の方もはじめは「直ぐにあきらめるよ」くらいにしか思っていなかったかもしれません。しかし時間をかけて行って、何度も顔を合わせて話をすることで「もしかしたら本気なのか?」と変化があります。しかし、この変化もある人にはあるかもしれませんが、無い人にはありません。その方の柔軟性があり受け止めてくれるということも大きく影響をします。

「今は厳しいかもしれないけど、この先はきっと大丈夫だろう!」短期で答えを出すよりも長期で物事を考えた方が楽しさもいっぱいです。振り返ってみるとこの2年間、コロナ禍で大きな変化がありました。お弁当を始めたときは「緊急事態宣言で食事に困るだろうから、手作りの美味しい料理を作ろう。」と今の現状でお弁当を作るという決断をしましたが、それが今のお菓子のテイクアウトや通販、農業に繋がっています。「おかずも選ぶ楽しみがあった方が良いな」「お弁当の種類を増やそう」そうやって、まずは相手がどうなったら嬉しいか。何を求めているのか、そう考えることから始めるから、何かしらの役に立つ小さなことが出来て、それを繰り返し繰り返し行い、答えを急いで求めなすぎないことが、自分の中の「許容力」とか「器」を育てて、それが「多様性」として表れる気がします。その逆の「多様性に対しての許容力」も然り。

何でもやってみる。これが一番僕らしく表現できる方法で、間違うことは間違ってから考えれば良いことなのでドンドン小さな間違えを積極的に続けていきます。

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