梅雨明けからお盆を過ぎて、この8月いっぱいは生姜が成長をする大事な時期。
しかし、日本全体で梅雨は長雨が続き、梅雨が明けたら猛暑日が続き、8月に入ったら大雨で九州・広島をはじめ全国区で記録的な雨が観測されました。
僕の畑のある栃木県もこの時期は雨が続きましたが、畑が水で埋まっていまうというような問題は起きず、でも雨の影響で土関係の仕事ができない時期があったり、計画が狂ってしまうような事は多かったです。
でも、勝負月には変わりが無いので合間を見ては畑に足を運びました。
まずは、ネットで調べました。日本で生姜生産が多いのは高知県で、高知県の特産物になっているので、高知県の生姜農家さんで情報を発信している方や、農業系のサイトから必要な内容をいつも見ていました。ここで、該当をするものがいくつかありました。
症状
茎、塊茎、根、幼芽を侵す。
茎では、地際部に水浸状の病斑を生じ、上位へ進展する。のちに茎は淡褐色に変色する。
葉は下葉から黄化するが、葉は開いたままで立枯れ症状となる。病勢の進展が激しい場合は、地際部が軟化腐敗して倒伏する。発病株を引くと、茎が地際の腐敗部分から容易に抜けることが多い。
塊茎には、初め淡褐色、のちに褐色の陥没病斑を生じる。若い塊茎の感染が多く、病勢の進展が激しい場合は、軟化、腐敗する。親イモの腐敗は少ない。
湿潤条件では、被害部の表面に綿菓子様の白色菌糸を生じる。
引用:こうち農業ネット
この病気は良くおこる病気です。「生姜 病気」で検索をするとかなり多くの検索結果が表示されえ、写真も多く掲載がされています。この病気の恐ろしいことが「発生すると全滅」などと書かれていることが多いです。なので発生した生姜を発見したら、この回り全てを抜いて移らないようにするほどです。対策の使用がなかなか無いとも書かれていました。
症状
地上部では、はじめ下位葉が黄化して萎凋する。黄化・萎凋はすみやかに上位葉に進み、やがて株全体が萎凋して枯死する。茎の地際部は水浸状に軟化し、茎を引き抜くと容易に抜けることが多い。また、茎は早期に倒伏する。これらの症状は、根茎腐敗病に類似している。
塊茎では、表面がごくわずかに水浸状に変色する。また、塊茎を切断すると、内部が黄褐色に変色している場合がある。
発病株の茎や塊茎を切断して水を入れた容器などに浸すと、白色の細菌液が糸を引くように流出する。
引用:こうち農業ネット
こちらもなんですが、一度発生をすると諦めなければならないと言われるような病気です。こちらは近年になって多く見られるようになった病気で僕の畑のある栃木県でも平成21年に発生をして大きな被害になったと書いてありました。
ともに7~9月に発生することが多く記載されています。水分不足だったり、水分が多かったり、生理的な病気では代表的な病気の2つです。
ここで、僕の畑の生姜の写真をもう一度アップします。
上の写真は8月1日の状態です。中央の物以外に小さいものも茶色くなっていることが分かると思います。
同じ畝でも同じようなものを見つけることができました。通常であれば回りも抜いて病気が広がらないようにするべきなのかもしれません。なぜなら全滅してしまうほどの病気だからです。しかし、僕の畑は無農薬で育てているということもあり、ネットで検索された畑のように化学肥料や消毒を行っていないので、「決して同じでは無ないんではないか?」という思いもあり放置することに決めました。
あれっ?同じように見えるな・・・全滅したらどうしようと・・・ビビってました。
やはり、広がりました。ここで確認をしないといけないことがあります。病気の場合は生姜が腐って溶けだしているということなので実際に土を掘ってみました。
腐って溶けだすようなことは無く、しっかりとした硬さを保持していました。そして、なにより新しい芽が伸び成長をしようとしていることが見てとれました。このことから「成長は遅いし小さいかもしれないけど育つだろう」と思い土を戻し、観測を始めました。
枯れている部分は枯れていますが、緑色をした新しい芽がしっかりと伸びてきています。隣の生姜も同じような状況です。茎を触ってみてもしっかり固い状態です。
病気を確認して1カ月が過ぎ、範囲は確かに広がりました。しかし、新しい芽が出てきて成長を続けていることが確認ができます。やはりネットに上がっている情報とは違うと思い始めました。
上の写真では中央の畝から病気が発生しました。そして1カ月もするころには両隣の畝も同じ場所位で、同じような症状になっていることが分かると思います。ですが、放置します。
全体的に黄色っぽくなっていることも分かると思います。猛暑が続き水が少なかったと思ってるときに長雨で何もできない状態が続いていて雨が明けたときの状況です。
生姜は亜熱帯が原産国なので、大量の水分を必要とします。しかし猛暑日で全然雨が降らない時期が続いていました。その時もそうなのですが、僕は普段は神楽坂のお店をメインに、住んでいるところも神楽坂と東京に住んでいます。畑は栃木県小山市。片道2時間弱の移動距離、往復約5時間。週に最低2回は確実に行くようにしています。
しかしながら雨が降らない状況下で3日も空けたら土はカラカラ気味になってしまいます。生姜は水分を必要とする作物です。相反してしまう状況を作ってしまいます。この期間が悪かったと自分で理解しています。
僕の畑は0.5反(約150坪)、1週間に1回の追肥と中耕、そして1回畑に行くたびに潅水1000L、葉面散布40L×2(80L)、ホースで散水というこの3つの水分に対する仕事をしていました。写真の黒いタンクは1つが500Lです。畑の近くに用水路や井戸が無いために使ってよい蛇口からホース60mを引いてタンクに水をためてエンジンポンプで畑に潅水をしています。
この様に畝にチューブを張って先ほどの黒いタンクからエンジンポンプを使って畑に水をまきます。
先生に言われた通りのことを、ただただ愚直に行っていました。雨の日も畑に行っては土を掘って確かめてみたり、水が溜まっていないかを確かめたり、水は過剰じゃないか?雑草は大丈夫か?やれることは何でもやっていました。
あれほど黄色くなりかけていた生姜が緑色に戻ってきていると感じました。そして高知県の生姜畑の写真を見みて気付いたことは「高知の生姜は背が高い」と感じたんです。日本一の収穫高を誇る高知県はそのノウハウというものが確立されているし、病気対策もしているんだから対比はしてはいけないと思い、参考にする程度にとどめました。
畑に行ったときは必ず写真と動画を撮り先生と共有しているクラウドにアップをして確かめてもらっていますが、「背丈は低くても茎がしっかりしていて成長をしている」と意見を頂いたので嬉しかったことを覚えています。
長雨が続き土も固められている状態でしたが、どうでしょうか!上の写真では新しい芽が5本も出てきているんです。つまり分球をして発芽をしたという状態です。生姜は分球をしながら大きくなっていくので状況は良いと考えられます。茎も人差し指位の太さになっているものも見られました。
つい先日行ったときは何となく緑色に戻ってきていて茂っているように見受けられました。伸びようと確かに成長をしています。
上の写真は先にアップしていた葉が枯れてしまった箇所のものです。隣の畝(左斜め上)はずいぶんと茂っています。以前の写真と見比べてみます。
日付を見て欲しいのですが左は8月12日、右は8月26日。15日ほどでしかないんです。何だか自然の力を感じずにはいられない代わり映えです!
そして、まだまだ新しい芽が出てきています。上の写真は大きい種生姜を植えたところの物です。大きい種生姜は140gほどのものです。写真で見ると1つの種生姜から11本の茎、2本の芽、合計13個分球したと言えます。きっと大きく良い状態なのを期待します!!
ここで思うことは勝負月と言われる梅雨明けからお盆明けの8月いっぱい。まだまだですが管理が出来ていたから8月26日くらいになって緑色に茂り、新しい芽がどんどん出てきているのだと思います。きっとこれから新しい芽も伸びていくのでもっと生い茂ってくることが予想できます。
農業というものは料理と同じだと思い僕は取り組んでいます。それは「手間暇をかける」というシンプルなことなのではないかと今は強く思っています。
料理でいう、料理前段階の下処理をきちんとやったかやっていないか。
鴨コンフィという伝統的なフランス料理は油で鴨の骨付きモモ肉を煮るという料理です。油脂でゆっくり煮る感じです。
通常であれば鴨のモモ肉の分量に対しての塩と砂糖を量って、モモ肉にすり込み一晩置いて油で煮るという流れです。しかし、僕は違います。
塩と砂糖をすり込むということは変わりありません。さらに仕事があります。まず生にニンニクを数片半分に切って切り口を鴨モモ肉の表面にこすりつけて香りを移します。次に塩と砂糖をすり込みます。すり込んだ鴨モモ肉を深さのあるバットに並べて、その上に人参、玉ねぎ、セロリなどの香味野菜のスライスを全面に乗せます。タイムやローリエなどの構想も乗せます。これも香りづけと旨味の移動です。落としラップをした状態で一晩冷蔵庫で置いておきます。
一晩経ったらラードで煮ます。旨味はやはり他の油脂では出せません。
さらに80度を超え無い温度で4時間ゆっくりと火を入れます。動かしません。ただただ温度だけを気にして4時間煮ます。煮たらそのままラードの中で一晩休ませます。
翌日、提供をする場合はラードの中から取り出しフライパンとオーブンで香ばしく焼きあげて完成です。
焼く以外の時間は全て仕込み時間。これが手間暇をかけてあげられる時間です。
畑も僕にとっては同じです。生姜自身は成長をすることができるけど、より強くしっかり成長をする手助けをする時間が料理の仕込み時間。この時間に手間暇をかけれるか。これが全てだと主ながら畑仕事をしています。
人間がしてあげれるべきところをしっかりと行う!
農業を始めて1年も経っていません。初心者と言えば初心者ですが、何度も言うように料理をやっている感覚なので気持ちは変わりません。初心者でも料理ができて仕込みができれば問題ありません。むしろ戦力です。なので僕は見て覚えて家で実践して誰よりも早く来て仕事をもらいながら修業時代を過ごした経験があります。
そのお陰で「出来てしまえば勝ちだろう!」という意識があります。もちろん正しいやり方で正確に行うということは大前提です。
なので生姜に関しても必ずいいものを作るんだ!と言い聞かせています。初心者だから色んなことを疑問に思い、すべてがデータになって経験になります。畑に足を踏み入れた時点で素人かもしれませんが、プロと同じ土俵に立ったことを意味します。なら勝つことを考えます。そのために何をすれば良いのか?
料理と同じなんです。そういう考え方ができるような環境下で仕事ができていたことに感謝です。
8月も終わりに向かっていますが、9月は一気に成長をしてきそうです。しっかり管理をして良い生姜を育て上げて、ジンジャーケーキを焼きたいです。それを楽しみに畑仕事に精を出します。