神楽坂で2011年にスコティッユパブ「ザ・ロイヤルスコッツマン」を開業しながら、2021年より無農薬農業を始め、食を通じての体験や考えをまとめたブログです。食育インストラクターでもありオーガニックの普及に努める。国内では珍しいスコットランドの民族楽器バグパイプ奏者で全国のビールやウイスキーのイベントでの演奏も行っています

イギリス伝統・キャロットケーキ

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イギリスには本当に多くの焼き菓子があります。それはアフタヌーンティーとして日本にも多くのファンを虜にしているイギリスの大切な文化です。

アフタヌーンティー、この日本においては「女性のもの」という認識が非常に強くあります。僕自身も英国展で国内のティールームの方々を紹介していただき交流はありますが、一時まで足を踏み入れることに抵抗があった人間の一人でした。店内には女性の方が多く男性は・・・という状況は何度もありました。イギリスの文化を知るためにという思いでティールームへ行き、アフタヌーンティーで過ごす時間がなんとなく分かってくると「パブと一緒だ」という感覚に陥りました。

コロナ禍で店舗ではスコーンを作ったり、ジンジャーケーキを作ったり、やはりお店はパブなのでイギリス文化のことをすることが非常に楽というか安心感があります。そんなイギリスの焼き菓子の中でも「なんで人参?」と思ったキャットケーキを紹介します。

キャロットケーキの歴史

キャロットケーキ

僕は初めてキャロットケーキを見たときに「アメリカのお菓子かな?何だか上に甘そうなのが乗ってるし!」という印象を抱いたことを覚えています。しかしながら、このキャロットケーキはアメリカ発祥の焼き菓子ではなく、イギリスということを知りました。

実に1500年代にまでさかのぼる古い歴史があります。「ケーキなのになんで人参?」と誰しもが思うようなことを僕も思いました。フランスにはケークサレという料理があります。ケーク=ケーキ、サレ=塩。塩気のあるケーキというのが直訳で野菜やベーコンなどを入れて焼いたパウンドケーキで食事系なんです。なので野菜がケーキになるというよりは野菜を使った料理という認識であって、決して野菜のケーキ(甘い)ではありませんでした。なので「なんで人参?」となりました。

歴史を見てみると、1500年代という時代が大きなポイントになっています。この頃は「海が中心」という時代でした。ヨーロッパ民族がアメリカだけではなく、アフリカ、アジアなど海を通し時代が活発化し、侵略や貿易など世界が大きく動き出した時代ともいえます。その当時、砂糖は非常に高価なものでした。なので、糖分を多く含むニンジンを使ってお菓子を作ったのが始まりだったと言われています。

大きく動いたのは第二次世界大戦です。砂糖が配給制となり手に入れられないものになりました。このことで人参が甘味料として再度使われるようになりました。同時にキャロットケーキも人気になり、様々なパターンのキャロットケーキが誕生したそうです。

キャロットケーキを見たことのある人なら、あのケーキの上にたっぷりと塗ってある?乗せてある?アイシングも気になるところです。これはアメリカが発祥と言われています。1960年代の戦後、アメリカのカフェでキャロットケーキに人気が出て、クリームチーズのフロースティングを乗せるスタイルが流行になりました。

アイシングとフローティングの違い

キャロットケーキもそうですが焼いたケーキの上に白く乗っているものがあります。これはクリームチーズ、バター、粉糖を混ぜたものを乗せているのですが、よくカップケーキに乗っているのも見たことが多いと思います。実はこの部分の2種類に分類がされます。まずこの部分は「フローティング」と言います。そして「ロイヤルアイシング」と「クリームアイシング」に分かれます。

実は、上の見出しのように「アイシングとフローティングの違い」というのはちょっと間違った内容になっています。なぜなら2種類のアイシングはフローティングが元で分類されたものだからです。

ロイヤルアイシング

アイングクッキー

ロイヤルアイシングは乾くと硬くなるので、クッキーなどに使われます。材料は粉糖、水、乾燥卵白が一般的です。写真の白い部分ですね。クッキーに塗るだけでなく、文字や模様を書いたりするのにも使われます。

クリームアイシング

クリームアイシング

キャロットケーキのアイシングにはクリームチーズを使用しています。これはクリームアイシングに含まれ、乾いても硬くならないのが特徴で、カップケーキにによく使われます。材料は粉糖、バター、クリームチーズが一般的です。写真のようなカップケーキを見るとアメリカンだな!と思ってしまう自分がいます。

焼き菓子にサラダ油を使うことが多い

サラダ油

フランス料理をやっていたせいもあり、お菓子というとバターが直結をしてしまいますが、サラダ油を使うということも頭に入っています。例えばシフォンケーキはバターではなくサラダ油を使うお菓子で非常に有名です。イギリスの焼き菓子に関しては本当にサラダ油を使用することが多いのは事実です。先日のジンジャーケーキもサラダ油を使用しています。

バターではなくサラダ油を使用する理由は何でしょうか?

これには非常に大切な理由があります。

サラダ油はバターと違い、粘性の低いことが特徴です。その特徴を利用します。生地全体にまんべんなく油脂を行きわたらせ、ふわふわと柔らかい触感に仕上げるため。というのが理由です。

サラダ油のように常温でも液体状の油は、生地を膨らませるグルテンをなめらかにして伸びを良くする働きがあります。バターで焼いたお菓子も和ら鋳物はありますが、バターを使った場合よりもふんわりと膨らみやすく、さらに軽くてボリューミーな状態の生地に焼き上げることが可能になります。

この理由を知っただけでもシフォンケーキの柔らかさが理解できたと思います。

キャロットケーキ試作しました

人参を粗削り
キャロットケーキ焼き上げり

僕のなかでキャロットケーキを作るのにあたりポイントは1つだけです。

人参は「すりおろし」ではなく、チーズ削りなどで「削る」です!

理由はシンプルです。すりおろすと水分が出てしまい、水分過剰でべっとりになってしまいます。
もともと、イギリスのお菓子は非常にシンプル、道具もシンプルです。ボールひとつあって混ぜて焼く!みたいなものが非常に多くあります。

これは僕がパリのビストロで仕事をしていたときの経験なのですが、厨房内で「すりおろす」という経験をしたことはありません。基本的にチーズ削りを使い「削る」です。

日本にはニンニクのすりおろしというものがあますが、パリではまな板でつぶして、つぶして、つぶしてということを繰り返し、形はどうあれすりおろしに近いものになり、それを料理に使います。もしくはみじん切りです。
調理作業において「すりおろす」という概念はそもそも無いということです。しかしヨーロッパには多くの日本人料理人やインターネットの情報により今現在は「すりおろす」ということも一般化してるかもしれません。
ちなみに僕は小さなすりおろし器をパリに持参して厨房に置いておきました。

クリームアイシングの乗せたところ

クリームチーズ、バター、粉糖でクリームアイシングを作り、粗熱をとって冷ましたキャロットケーキの上にたっぷり無造作に塗って完成。

また別の機会にキャロットケーキのレシピも書いてみます。

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