神楽坂で2011年にスコティッユパブ「ザ・ロイヤルスコッツマン」を開業しながら、2021年より無農薬農業を始め、食を通じての体験や考えをまとめたブログです。食育インストラクターでもありオーガニックの普及に努める。国内では珍しいスコットランドの民族楽器バグパイプ奏者で全国のビールやウイスキーのイベントでの演奏も行っています

農業Weekで感じたこと


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初めて農業Weekという農機や資材、その他農業の専門的な展示会に参加をしてきました。2日目に行ったのですが最寄り駅の海浜幕張駅から多くの人が会場でもある幕張メッセに向かい列をなして歩いていました。

画像出典:農業Week

男性女性共にビジネススーツを着た方が非常に多く仕入れ業者さんやメーカーさんなどのように見えました。

現在、多くの大企業もどんどんと農業に参戦をしていることもあり、会場ではどのようなものが展示され話を九九ことができるの楽しみだなと感じていました。ここ最近言われているスマート農業やDXなどIT関係の物も非常に多く展示をされ、特にドローンの展示は多く、その活躍が著しいと実感をしました。

ひときわ目立つドローンのブース

ドローンを展示しているブースは何処も派手というか見せるためにブースをしっかり作り込んで多くのお客様が足を止め話を聞いていました。キャンペーンの女性を揃え華やかなブースもあるほどでした。農業に使われるドローンを始めて見ましたが、その大きさや機能などに驚くことが多かったです。

そしてドローンに関して驚いたブースがありました。ひときわ派手に演出をしているブースには若い男性や女性がいて彼らに声をかけられたのですが「ドローンのチームに入りませんか!」ということでした。

農業の高齢化に伴い、様々なメーカーさんが畑まで出張をしてドローンを飛ばしているのですが、そうではなくメインで仕事をしている人たちがスキマ時間や休みの日に農場に10人ほどで出向き、指示係、操縦係、資材係と3チームに分かれて一気にドローンを飛ばして作業を終わらせ、次から次へと畑を変えて仕事をして行くというのです。その話を聞いて思いました。

ドローンの Uber Eats だ!

僕に色々と話をしてくれた男性は29歳、自営で仕事をしているのですが、ドローンが好きで大きいドローンを思いっきり飛ばしたい!と思っていたところ仲間から「農業ドローンを好きな時に飛ばせる仕事があるよ!」と声をかけられ損のチームに入ったそうです。大阪在住ですが近県の畑で早朝から昼過ぎくらいまでチームでドローンを飛ばしているそうです。全員でインカムを付けながら指示係がどこをどう飛ばすかを支持して操縦係が飛ばし、バッテリーが少なくなってきたら資材係が回収をして付け替え、農薬補充をてOKサインを出すと、再度、操縦係が飛ばす。という一連の流れであっという間に仕事を終え、次の畑、次の畑と移動をして行くそうです。

畑の広さで歩合が決まるそうなので本当にドローンのUber Eatsです。



これも一つのビジネスモデルで、ドローンを飛ばしたい人の需要をそのまま農業に活かしていて、ドローンの操縦は男性でも女性でもOK。一般的なドローンではなく農業用の大きなドローンで、インカムを付けながら指示を待ち操縦をチームになって行うので非常に楽しいそうです。しかも時間のあるとき、気が向いたときにスマホに連絡が来て行くだけです。話をしていた彼は「終わった後におじいちゃんやおばあちゃんが喜んでくれるんですよ!」と本当に良い得画をで話してくれている姿を見て「新しい農業の1つだな」と感じずにはいられませんでした。

6次産業化商材、機材が多数

農業Week

生産だけではいまいち儲からない。規格外の野菜をどうにかしたい。このコロナ禍の中で多くの農家さんが思うようになったことだそうです。その影響もあるのか農業機材や資材以外に、オーブンやアイスクリーマー、厨房機器のブースも目立っていました。

そもそも6次産業化とはどういうことか

6次産業化とは、1次産業である農林漁業従事者が、生産物を使い、2次産業である加工・製造業を行い、3次産業である流通・販売業までを一貫して行うことです。最初から最後までを自分たちで行うということです。

このことで農家さんは市場を通さず、価格を自分たちで自由に値付けできるため、その作物の以上の付加価値を作ることができます。そのことで所得アップや雇用の確保につなげることを目標としています。

失敗が多い6次産業化

様々なッブースで話を聞ていて多かったその答えは「農家さんは商人じゃない」ということです。作ることに関してはプロですが、販売に関しては素人だということです。基本的に農協などに生産物を卸すことの多かった農家さんは、農協側の言い値で買い取ってもらっていました。なので価格交渉という概念がありませんでした。

なので農協による価格相場以外があまり分からず、それが故に、どんな商品がいくらくらいなのかという商品価格も分からないということもあります。

さらに作物を育てた後の加工品、つまり商品はどんなものがあるのかが分からないということです。農家さんの全員がケーキを作れるわけでもなく、そのケーキはしっかりと安全基準のしっかりしたものか?衛生管理はされているのか?などなど、飲食店の厨房以上に気を付けなくてはいけない現状が分からないということです。

加工された野菜

お菓子の販売であれば開製造免許が必要ですし、イートインスペース等を設けてカフェにするのであれば飲食店営業許可証が必要。その商品を作るのにどんな厨房機器が必要なのか、資材が必要なのか。1つの飲食店の開業にもかなりのお金を必要としますが、加工品となると飲食店のように注文が入ったら作って提供をするという、そのばで完結をするような短い時間の中でのことでは無く、流通や保存という長い時間がひつようになり、その後に消費者の手元に届くのでその調理工程も変わってきます。なかなか難しい部分だと思います。

そして販促など購買意欲を促す手段をあまり知らないために作ったは良いが、全く認知されなず販売不振で止めてしまうということもあるそうです。販売をするまに加工場など大きな設備投資をしてからでは大きな損害になりますが、このことは意外にも多いと言っていました。

インターネットを使いSNSでの情報発信は高齢化の農家さんだけでなく、若手の農家さんもなかなか難しいと、あるメーカーさんが言っていました。一生懸命作って良い野菜になり規格外商品を販売につなげたいと取り組み始めますが、農業以外に必要なことは多くあり過ぎ、そこに取り組むことが難しいとお話をしています。

飲食業から農業

僕の場合は飲食店を構えて商売をはじめ、コロナ禍で食品に関する許可証を色々と取得しEC販売も始めました。商品を作り販売をしています。そのことは大きなアドバンテージのように思いました。このことは展示場の厨房機器メーカーさんも言われました。

基本的にサービス業としての飲食店ではお客様に喜んでいただくための料理やドリンク、盛り付けや内装、会話や雰囲気などを飲食店だからと自然にやっている部分がありますが、この考え方、目線というものは作物を作っている農家さんが商品づくりに悩む大きな点だということです。

商品を作る際にも、お客様目線というものを持っていることでパッケージを気にしたり、販売方法を気にしたり、製造過程や商品力、差別化など。作った商品が届いた後のことを考えることにも非常に役に立つということです。
僕も既にECショップをはじめていますが、ラベルシールやケーキ箱、保存袋、販促品など、店舗と違うことが多すぎて最初はビックリしましたが、届いてどんな風になって欲しいかや、どのように手元に届けたいかなどを考えることは、厨房で料理を作って提供をする気持ちとは何一つ変わらないことなので直ぐに離れました。しかしながら店舗での販売とオンラインでの販売はずいぶんと違う物だと今でも感じていることです。

そして料理をやっていることで商品を自分で作ることもできる点も大きいと言われました。小ロットで始める際など作り方が分かっていることで作業工程をイメージしやすくなります。

実際に調理器具の扱い等も、そして使い勝手や、配置などを経験的なものが活かされます。このようなことから飲食業から農業の6次産業化は非常に魅力的な世界です。

生姜のことを考えて機械見学

11月に生姜の収穫を迎えますが、ここでも色々と問題があります。保存先は既に確保をしていますが、商品として販売をする際には洗って土を落とす必要があります。これまでネットで根菜系の野菜を洗う機械を調べていましたが、基本的にタンク等の中で回転をしながらゴロゴロと野菜通しが接触ぶつかりながら洗われていました。

それを見て「新生姜みたいに皮が繊細で柔らかいものは傷がついてしまうな」ということを考えていました。なので生姜専門農家さんなどは高圧洗浄機で洗ったりも売るそうです。それを聞いて「水道代もバカにならないな!」と思っていました。農業Weekへいったのも生姜にとって何かいい商品を調べたいというのが一番でした。

それを見つけました。そんなに多くの量は一気に洗えないけど、問題点を解決する洗浄機に出会いました。タンクの中で水流を起こし、空気を入れて泡を発生させながら優しく気泡で洗っていく仕様です。機械メーカーさんも生姜農家さんからの洗浄での問題点を踏まえて作り上げたそうです。そしてこのメーカーさんは車や新幹線の洗車機を作っているメーカーさんでした。なので傷を付けないようにするための水圧や空気の入れ具合など研究を重ねて作ったそうです。実際に動させていただき、担当の方から色々と説明を受けましたがとても良い機械だなと思いました。

その他、保存袋やコンテナ、冷蔵庫に至るまでなんとなく将来的にこんなのが必要になるだろうというものを目で見て確認できたことが良かったです。

まとめ

KEEN

初めて伺った農業Weekですが、思った以上に個人的な収穫が多かったです。まず、まだまだ農業というもの辞退の経験が浅いということもあり様々な機械や資材を見るだけでなく、各メーカーの方から直接説明やパンフレットを頂き、相場価格を感じることができました。農機は非常に高価なものが多いのですが、今回は現段階の農機というよりもスマート農業、DXに対応をするべき農機なので現段階ではさらに高価だと思いますが、それを知っていれば今後の価格との対比だけでなく機能面での対比もできるようになります。

そして何よりも、今回は環境に配慮をした機械や資材、SDGsをスローガンにあげているので、それ相当の物が集まっていたわけですが、こんなに多くあるのかと驚いたとともに、今後の農業が目指す部分がハッキリしているなと感じました。衣類や靴もプラスチック再生利用でデザイン的な商品も多く展示され女性農家さんや若手農家さんに人気なんだそうです。

さらに既存のアウトドアブランドが農業スタイルの商品を作り展示もしていて農業がずいぶんと身近になったと感じました。

先日行ったオーガニックのイベントでもそうでしたが農林水産省、環境省の方がセミナーで「みどりの食糧システム戦略」として国の方針をお話しになったように、地球規模での環境問題やサステナブルということを一人一人がやぅて行く必要があるということです。

家畜のメタンガスをどうやったら少なく排出を出来るか、そのための家畜舎のメーカーさんも来ていました。植物工場と言われる植物工場など新しい農業のスタイルの提案も多かったです。

このような会場に来て、同じように来場をしていた方々ともお話をして感じたことがありました。それは「小規模農業のブランド化」です。様々なプラットフォームが揃ってきている農業。インターネットも個人で自由に使うことができSNS等を使えば個人での情報発信も簡単にできる時代です。

これまで大規模農業だけが大きな収益を得ていた時代と違い、小さくてもブランド化することでこれまで以上の付加価値を付け販売をすることで収入を増やすことも可能です。コロナ禍により健康に気遣う方も増えたことでこれまで見向きもされなかった作物も脚光を浴びる機会が増えています。地産地消という意識もあるので大規模生産された物よりも、個人の手で作られた作り手の顔が見える作物には安心感もありリピート購入の機会も増えるかもしれません。

機械化により個人でも生産性を重視しての農業が可能になっただけでなく大規模化することも以前よりは容易になりました。しかしながら設備には大規模な投資は必要です。それよりは個人として、こだわりの育成や付加価値の提供によりブランド化をすることの方が無理なく安定的な農業ができるのではないかと思います。他業界では当たり前にだった多様性の農業が、このIT化で進められるのかもしれません。

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