2021年3月に0.5反(約150坪)の広さの畑を借り農薬・化学肥料不使用で生姜栽培を始めました。早いものでそれから1年が過ぎました。11月に1.1トンの収穫をし委託倉庫へ配送保管。ときどきケース単位で倉庫からスコッツマンに配送依頼をかけ店舗で洗って加工をしたりしていましたが、やはり手作業なもので大量にはできません。先月は190kgを1人でタワシで洗って掃除をしたんですが、指紋が削れてスマホもタブレットも、そして指紋認証も反応しなくなりました。そんなときに銀行のアプリをいじってしまったため指紋認証に幾度か失敗をしてアクセス不可、銀行にスマホを持ち込んでロック解除という事件も起きたり、収穫後は収穫後でいろいろとやることは多いと実感をしました。
昨年に収穫をした生姜は自分で農薬・化学肥料不使用で育てたものなので、純粋に僕の生姜という事になります。これを今期(2022年)に定植をするためにしたので、加工品として扱える量自体は多くはありません。そのため収穫をした一部の生姜は自分でジャムやケーキを作るために加工をしていますが、今後、収穫量も増えることになるので、そのときにどのように加工をするかということを考え、数少ない生姜の加工業者さんへお願いをしてパウダーとシロップを依頼し、それがもう少しで出来上がり戻ってきます。これは店舗でもそうですがEC販売をメインで考えています。そろそろ販売可能になります。
農地は誰でも借りることはできます。でも、ちゃんとした手続きを踏みながら借りることが重要になります。何も無ければ何でもそうですが、貸した人の責任です!という事態になりかねません。畑は親でも兄弟でも親戚でも、知らない人からでも借りることは自由にできますが、それは法で守られたものではありません。ちゃんとした手続きが必要になります。
双方で取り決めを確認しながら契約書を作り行えば良いかもしれません。でも相続問題が起きたらどうなるのか、貸す年数は、など気になることは全て契約書に盛り込む必要があります。そうではないと、借りる側の人間にとっては、いつ返してくれと急に言われるか分からないわけです。双方の主張は商法で分かり得ない部分も出てきてしまう恐れもあります。
耕作放棄地という字のごとく畑としての機能を放棄されている畑は日本のそこら中に存在します。そういう畑なら直ぐに借りられるのかというと、それはまた別なんです。昨年は飛び込み営業のようにそういう畑を見つけては、近くで作業をしている農家さんに話をして誰の畑かを聞いて家まで行って直談判という超アナログな作戦をしていました。今年は畑の拡張のために今の畑では手狭なので新しい畑を探していますが、これまでの畑の近くではなく、全然知らない土地でやろうと思い、畑探しをしています。なおさら大変なわけです。
農業をやりたいということを市役所や町役場の農政課等に話をしに行きます。たいてい農業委員会が設置されいるので、話を通してもらいます。農業委員会がその地域の耕作放棄地等の情報を持っているし管理をしています。僕は空いている耕作放棄地を今後も紹介をしてほしいと思っているので、そこはコミュニケーションの数がモノをいうので会いに行ったり電話をしたりをします。田舎は外から入ってくるモノや人を直ぐには受け入れない人もいます。そういう空気感がります。それをほぐし、その輪の中に入れてもらるように時間をかけます。畑の情報をもらい、見学に行って、貸主さんにあって、契約書を結んで、市役所等に提出をする。その際に農業での取り組みの計画書も提出をする。まぁ~面倒で時間がかかります。でも、この遠回りが一番の近道であり、突破口でもあるのは、この1年間の農業をしている時間と、役所ごとの経験で分かったことです。「急がば回れ」です。
日本という国は本当に小さな島国なんです。そこに世界的に類を見ないほどの人が集中的に住んでいます。日本の森林面積は約2500万ヘクタールで、日本の国土の67%、3分の2が森林です。畑の耕作面積に関しては13%しかありません。たった13%です。めちゃくちゃ少ないんです!
小さな島国で、それほど広くもない耕作面積。限りある農地を有効に利用をしないと農業は衰退をします。ただでさえ農業人口っ減っているので衰退の方向へ向かっています。なので、有効的ではない利用をしないように、それ自体を農地法によって制限しています。
そうでないと、農業目的以外で農地を購入しようとする人がいるかもしれないし、計画性の無さから農地を無駄にしてしまう可能性のある人には、農地を取得する許可が与えられないようになっています。さらに、農業が複雑だと思うことの一つに、農地法では具体的な基準を定めてはいません。許可を与えるかどうかを判断するのは、あくまでも農業委員会の人の役目なんです。農業委員会は農地を有効利用しない人に許可を与えることを防ぎたいわけです。
この話の流れから、僕の現状を考えると嫌われるということが理解できると思います。まず、東京に住んでいる。そして東京で商売をしている。これにより「どうやって栃木で農業するの?」こうなるわけです。移動距離による制約時間もあるし、何かあっても直ぐに畑に行くことはできません。いろんな要素が考えられると思います。そして、これは色々な場面でチクリチクリされることですが「刺青やピアス」なんかも影響をしていると感じずにはいられません。田舎ならなおさらです。
さらに、就農計画書や営農計画書などをもとに審査がされます。どれだけ計画が完璧でも、許可を出した後に農業をしないのではないかと疑われれば許可はもらえません。ちなみに僕は疑われるタイプの人間だと思います(笑)。さらに、これまた独特だなと思うことは、農業委員会は農地法に従って許可を与えています。当たり前だろと思いますよね。でも、その農地法は具体的な基準を定めていない。なのに、借りたい人に疑いがあるのに農業委員会が許可を与えるのは農地法に反することになります。ということはです。何だかんだ言っても「農業員会の判断で決まる」そうなるんです。
なので借りたいというその人自身だけでなく、就農計画や営農計画をしっかりと練ることも必要です。しかしながら農業委員会の方の裁量によるものがあるという以上、本気で農業をするという熱意こそ大切になってきます。その人自身がどんな考え方をもって行動をしているか。農業を続けることを信じてもらうことで農地を借り、農業を始めることがやってできるようになります。
このようなアナログな部分が多岐に渡り存在をする農業。このコロナ禍で人に会えない、話もできない。というような生活が続いています。だからこそ多くの人が「コミュニケーション」というものへの考え方を改める機会になったように思えます。そして農業そのものをコミュニケーションと僕は捉え考えています。
畑で作物を作ることが農業ですが、僕は収穫後からこれまでの期間、なかなか畑を借りられずにいます。多くの農政課さん、農業委員会さん、町役場の方々、飲食店のスタッフやお客様。その地域の色々な方と話をする時間が非常に多かったです。そのように畑を借りたい地域で色々な話をすることで考え方が明確化をしました。
農業をするということで生まれるコミュニケーションを大切にして、その地域で飲食店や加工業までの6次産業を行い、地域内外のコミュニケーションを育む場を作る。
これが僕が農業をやる本質なんだと思っています。神楽坂でザ・ロイヤルスコッツマンをオープンした時のように神楽坂という土地で知らない人同士を繋げ、人生での新しい出会いを生みコミュニケーションを取る場。として続けている根本的な考えは、農業でも変わらないということです。これが根底にあるので畑が見つからないということで焦ってはいるものの、どこか落ち着いたところがあるのだと感じます。でも・・・5月には定植になるので焦っているんですよ(笑)
なので、畑が出てきたからといっても、直ぐに決めるようなことはせずに、しっかりとその地域自体のことなども調べています。どんな飲食店があり、人はどのあたりに集中しているか、地形はどうなっていて、何世帯くらいあるのか、地域資源は何かなど。希望地域はあるので、その地域を中心に探しに行っています。自分が具体的にやる農業というものが地域資源を活用しながら地域ビジネスになる。そんなことを日々考えています。