神楽坂で2011年にスコティッユパブ「ザ・ロイヤルスコッツマン」を開業しながら、2021年より無農薬農業を始め、食を通じての体験や考えをまとめたブログです。食育インストラクターでもありオーガニックの普及に努める。国内では珍しいスコットランドの民族楽器バグパイプ奏者で全国のビールやウイスキーのイベントでの演奏も行っています

天然ミネラル鉱石と窒素固定菌


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桜が咲いてくると「そろそろだな!」と思い始めます。それは生姜の定植です。実際は新年が過ぎ、落ち着いた頃くらいから本格的に土作りを始めます。今年は耕作放棄地だった畑を草刈りをし、古木の撤去を新年の1月2日からはじめて、まずは土が見えて何となく畑になる段階まで早めに持って行こうと思い始めました。そんな手間のかかった畑に種生姜300kgの定植が終わりました。

窒素(チッソ)

形になってきた畑

科学で勉強をしているので何となく名前だけ知っているチッソ(窒素)。実は作物にとって良い影響を与えてくれます。

今回の定植ではこのチッソを畑に投入をしました。僕の農業の師匠が考案をし商品化した農業資材なのですが、僕自身、それまでこのチッソという物質をあまり考えることはありませんでした。ただ「作物は良いみたい。」この程度です。

実はこのチッソ、植物の生育に必要不可欠な養分です。「肥料の3要素」とも呼ばれていて、その内容は「窒素」「リン酸」「カリウム」この3種です。そして窒素はタンパク質合成の主成分でということもあり、生育や収量に大きな影響を及ぼす、そんな物質です。でも、ここで注意点もあります。誤った使い方をしてしまうと、その良いはずの影響力が悪い影響力を及ぼしてしまうこともあります。

窒素(チッソ)と植物生育の関係性

シロザ

植物は土に張り巡らされた根から栄養分を吸収して成長をします。その吸収される栄養素の中で最も多く必要とされる必須栄養素が窒素です。窒素は茎が伸びたり太くなったり、葉が大きくなったり枚数が増えたりすることを進めます。このことから野菜の中でも、特に葉や茎を食べる葉菜類は窒素を多く必要とします。

先に書いた悪い影響で「徒長」というものがあります。字からも分かるように長く成長をし過ぎてしまうという現象です。つまりひょろっと細長い状態を言います。この状態では葉は大きくなるのですが色が薄くなったり、茎は長くなりますが細くなります。さらに悪影響があります。徒長した作物は病害虫や環境変化に弱くなります。病気になりやすい状態になります。そして収量低下にまでつながります。さらに自分の作物だけの影響ならまだしも、茎葉が過剰に大きく茂ってしまうことで、風通しや日当たりが悪くなり、このことが病害虫の発生につながります。隣の畑などに影響が出てきたら大変なことです。

窒素(チッソ)と環境の関係性

循環する窒素

窒素は良いところもあれば悪いとこともあります。表裏一体的な成分です。良い使い方をすれば生育に良い影響を与えてくれ、悪い場合は病気がちになります。さらに使い方の悪い窒素肥料の使用依存は、作物だけでなく、環境に悪影響を与えることもあります。

科学的に作られた窒素化合物の肥料は土の中に定着をするのではなく、土から川へ、川から海へ、海から雨へ、そして人間へと、この自然界を人間も含み循環します。それはこのような流れです。窒素肥料は雨で溶け出し吸収されます、それは農作物に吸収されます。今度は人や家畜がその農作物を食べ物や餌として体内に取り込みます。その後、下水や家畜の糞尿を通して、自然界に戻ります。このような流れが繰り返されています。



この循環自体は悪いものではないのですが、窒素肥料を過剰に使用した場合、窒素化合物が増加します。これによる悪影響としてあげられるものは、地下水中の硝酸イオンが増加し、地下水は飲料水として適さなくなります。水は人間にも動植物にとっても非常に大切なものですが、そこに影響をします。

ただ、このような環境問題に発展する窒素は全てが農業からということは決してありません。自動車などを作る工場から出るものもあったり工業関係から排出されるものもあります。

流れ出ないように窒素(チッソ)を固定する

化学式

「窒素が流れ出てしまう」というような書き方をしましたが、「流れ出てしまうことで問題が起こるのであれば、固定させてしまえばよい。」というのが農業の師匠の考え方です。師匠は様々な農業資材を作っています。というのも支障は元々農家であったわけではありません。食品関係の科学的な仕事をしていました。なので、作物に関する科学的な要因などに通じていて、農業がもっと楽になるようにと農業を自らはじめ自分で研究実験を繰り返し資材開発をしてきました。僕はそれを使い無農薬農業に取り組んでいます。

この窒素、化学肥料としてではなく培養開発をするのは非常に困難なんだそうで、培養をしてもそれほど日持ちもしない為に使用期限が決められていました。このような性質のため、多量に作り無駄が出ると意味が無いので、使いたい人を先に募らせ使用量を確認してからの生産販売。そして使用期限つきという資材でした。

僕は拡張をした新しい畑ですし、耕作放棄地だったなど様々なことを考え、この初年度から土作りというものを考えながらやってみようと考えていたので丁度良い資材と思い使用を決めました。

天然ミネラル鉱石に窒素菌を固定する

天然ミネラル鉱石

僕は「玄米アミノ酸微生物農法」という農薬も化学肥料も使用をしない農業をしています。その中で初年度から使用をしている資材があります。それが「天然ミネラル鉱石」という資材です。

「ミネラル」という言葉で何を連想しますか?「ミネラルウォーター」はその代表格だと思います。ミネラル入りの水ですが、一般的にも身体に良いとか健康的とか良いイメージがあると思います。これは農業にとっての農作物も同じです。

使用する天然ミネラル鉱石ですが簡単に言うと「天然ミネラル鉱石は、ミネラル分がすべてイオン化された鉱石」ということです。なかなか分かりにくいと思う人も多いと思います。

これは飼料を購入しているページから引用をさせて頂きます。

有機物が完全分解されて完熟のサラサラの状態になっているということです。
石にはたくさんのミネラルが含まれます。しかしそれを畑に入れたとしても効力が出るまでには気の遠くなるような年月がかかります。これでは使い物になりません。
しかし、この石が風化してボロボロになり完全イオン化していればもう土になる一歩手前、そのためミネラルがすぐに有効に働いてくれるのです。

引用:玄米アミノ酸微生物農法・天然ミネラル鉱石

原材料になるグリーンタフ(医王石)

画像出典:株式会社トーケミ
画像出典:yaotomi

この天然ミネラル鉱石、鉱石という名がついているので鉱山で採取された物ということが分かります。なぜ、天然ミネラル鉱石が窒素を固定するのに都合が良いのかは、この功績に特徴が大きく影響をしています。

医王石は石川県と富山県の県境、戸室地区にある医王山(いおうぜん)や戸室山(とむろやま)から採取される良質なミネラルを豊富に含む天然鉱石です。この医王石ですが、江戸時代には加賀前田藩では薬石・薬草の採取地として厳重に管理されていて、一般人の入山は禁止され、藩外不出の薬石として管理されていました。名前の感じを見ても「医」という漢字が使われるくらい医療としての使用があったことに由来をしていると思わせます。

調べてみるとその通りで、約千二百年前、恒武天皇が不治の病いに倒れた際に、泰澄(たいちょう)というお坊様がこの薬石を処方し水に溶かして天皇に与えたそうです。天皇は飲み続けたところ、その病気が回復して元気になったとされています。それに感動をした天皇が、この薬石に「医者の王様の石、医王石」と命名をしたと言われています。

この医王石の採掘できる場所を地質学的にみると、医王山は海底火山が隆起してできた山です。
そのため、医王石は陸・海・マグマ三種のミネラルを含有した奇石であることが分かります。奇石というのは字の如く「奇妙な石」を言います。ここで言う奇妙な石というのは奇妙な形や色、形をした石のことを言います。病気を治した石となれば、それは奇石に違いありません。

この医王石は大別して「緑色の緑色凝灰岩」「黒色のガラス岩鉱石」「茶色の石英斑岩」の三色系に分かれます。天然ミネラル鉱石は緑色の緑色凝灰岩からなるものです。そして医王石の特徴を記載します。

➀ 多孔質鉱石である
活性炭のように大小さまざまな大きさの穴が多数あいている。その穴に色々な物質を吸着する。

② 多元素鉱物である。
現在判明しているだけで100種類近い良質なミネラルを含有している。

③ 可溶性がある。
他の鉱石と比べ、水などにミネラルを溶出しやすい。

病気を治すなどの話が残る医王石ですが、その成分や効能などにより1985年に厚生労働省の食品添加物として認可されています。このことで「驚異の自然石」と言われています。

天然ミネラル鉱石に窒素固定菌を加える

チッソ固定菌

これまで説明をしたように農業にとって効果の高い窒素と医王石(天然ミネラル鉱石)と窒素を組み合わせて畑に加えようというのが今回の新しい取り組みになります。

それぞれを一緒に混ぜて畑に撒くというだけです。

天然ミネラル鉱石はサラサラとした砂状のものです。窒素固定菌は液化しています。窒素固定菌液を水で希釈して天然ミネラル鉱石に加えるだけなのですが、直ぐに砂に水を加えると重くなり、くっ付いてしまうと子供の頃の記憶が頭に浮かびました。コンクリートのようになってしまうと思いました。天然ミネラル鉱石はサラサラしているので畑に撒く際も非常に手軽に簡単に撒くことが可能な資材です。その特徴を無くしてしまうのは非常に残念。しかもくっ付いてしまったものを撒こうとしても均一にはならずムラができやすくなってしまいます。

その様な理由から、サラサラの状態に戻すためにはしっかり乾燥をさせて砕くなりして状態を戻せば可能だと思い大きなポリ容器の中に天然ミネラル鉱石を入れ、水で希釈した窒素固定菌を加え混ぜ合わせ、友香にビニールシートを敷いて、その上に広げておいて乾燥するまで放置しました。

窒素固定菌希釈液を混ぜたばかり
乾燥3日目、塊になっている
乾燥5日目、握ると直ぐに崩れる

予想通り、乾燥したものは簡単に砕けてサラサラの状態に戻りました。

天然ミネラル鉱石の元になっている鉱石、医王石は多孔質鉱石です。大小の穴がたくさんあります。これが重要で、ここに窒素を閉じ込め固定させます。こうすることで約1カ月ほどしかなかった使用期限が1年ほどに伸びます。もう少し注文をしておけばよかったかなと思いましたが、その時期は英国展が重なっていたので実際問題として作業をする時間が無くどうしようもなかったです。

今年は更に緑肥の使用も考えています。緑肥も窒素固定に役立ちます。土作り以外の部分で出来ることは何でもやってりっぱな生姜が収穫できるように育てて行きます。

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